CONSECRATION
1完現術の影響を溜め込み続けたサメに食い破られダルヴァは最早肩無し…いや形無し
自らの敗北は想定の外ではあったがそこはそれ 空を見れば分かる
「よもやここまでとは おぬしは確かに儂などより芽吹くだけの力があった
陛下もおぬしを受け入れてくれれば...いや 過ぎた事じゃな」
どうやらマツィヤを唐突に突き放したのには陛下とやらの言葉が関連していそうなのはマツィヤも理解したが マツィヤが言葉紡ぐ前に凪いだ表情で空を見上げる
「下で一度見たじゃろう 間もなく陛下によって『聖別』なされる 儂は死ぬ
おぬしは強くなったし何とかなるじゃろ 達者でな」
シンプルで随分チャランポランな遺言である
「ダルヴァ!!」
マツィヤは手を伸ばす 先ほどまで短い今生抱いたことのない怒りに任せて戦ってきたが ここまで来てダルヴァの言葉を聞いてそれが解けた
空から青い光が......
光が......
光が──
他所には落ちていったのにダルヴァの元へは一向に来ない ふうと一息ついてダルヴァはもう一度上を向き直す
「...下で一度見たじゃろう 間もなく」
「おいダルヴァ もう光ねぇけど つうかさっき見たから下一回の上一回だ」
「あれー?」
死ぬほど間の抜けた声がダルヴァから出てくる あまりの阿保さにマツィヤも毒気を抜かれる
「ダルヴァ とりあえず今から気が済むまで殴る...後で治してやるから 治ったら死神(こっち)に付けよ
一護達には『死ぬほどアホだったから殺すのやめた』って言って九割殺しまでに抑えるように言ってやる」
「まあ別に殴るのは良いが...どうせ碌にダメージにならぬしな
とりあえず陛下に一度なんでか聞くしかないかのう」
「あ゛ぁ゛!?」
この後打撃でダメージが通せるようになるよりも先にマツィヤの拳が悲鳴を上げたのはダルヴァとマツィヤ想定の内であった